講義② カシミヤを取り巻く問題 砂漠化とカシミヤヤギ工場

講義② カシミヤを取り巻く問題 砂漠化とカシミヤヤギ工場カシミヤストール専門店 Lity&co

今日も元気にカシミヤ博士の講義の時間じゃぞ。

前回の講義ではカシミヤに様々な種類があり、その毛の特徴で用途が決まっていることを伝えたのじゃ。

今日の講義は「カシミヤ工場の実態」じゃが、大変憂うべく事態が起きているのじゃ。

皆もよく考えて向き合ってほしいと思うぞい。

 

  • カシミヤの現状
    カシミヤはインドのカシミール地方で生まれ、それが世界の流行の中心であったヨーロッパに渡り愛されるようになり、やがて工業技術の発達ともに世界中で広がっていったのじゃ。

その需要を支えるために品種改良されたカシミヤヤギを中国と内モンゴルで大量に生産するようになったのじゃよ。

1990年以降から現在に至るまでカシミヤ需要はそのほとんどを中国や内モンゴルが支えておる。

中国やモンゴルで生育しているカシミヤヤギはゆうに6億頭を超え、そこから年間20万トン以上のカシミヤの毛が取れるのじゃ。このおかげで世界のカシミヤ需要を支えることができておるのじゃ。

 


  • 砂漠化させるカシミヤ

カシミヤヤギの育成方法の1つとして主に用いられているのが内モンゴル地域におけるカシミヤヤギの「放牧」じゃ。

この地域は貧しく、放牧で生計を立てる人々がたくさんおる、だいたい内モンゴルの人口の35%くらいかの。

放牧で生計を立てるノマドと呼ぶのじゃが、ノマドはたくさんの家畜を抱えており、その家畜の中でも換金性の高さで人気が高いのがカシミヤヤギなんじゃ。

1993年には2300万頭のカシミヤヤギが内モンゴルに放牧されておったが、2009年でその数が4400万頭に増え、20年間でなんとほぼ倍増しておのじゃ。

それが新たな問題を引き起こしておっての。

放牧してカシミヤヤギを育てることにはワシとしては良いことだと思っておる、インドでもそうじゃ。

自然と季節の恩恵がわしらのカシミヤストールを育てておる、それが一番じゃ。

しかしカシミヤヤギは自生している牧草を根ごと食べてしまうのじゃ。

少ない頭数の時は食べられる牧草の数より新しく増える牧草の方が多かったから問題なかったんじゃが、

2005年、米国国際開発庁(USAID)のレポートで、中国と内モンゴルで牧草の数の減少が増加を上回り、牧草地帯の減少、つまりカシミヤヤギによる牧草地の砂漠化が始まったことが報告されたのじゃ。

現在も問題となるゴビ砂漠の拡大の一因は実はカシミヤヤギの放牧が大きいのじゃよ。

 

  • カシミヤヤギ工場

放牧によるカシミヤヤギの問題は砂漠化として現れたの。

中国はこの問題に対処すべく、持続的発展性を可能とする方法を模索し出すのじゃ。

その結果、というかそれまでも存在していたのじゃが、カシミヤヤギのもう1つの育成方法としての「カシミヤヤギ工場」が増加してしまう事態となったのじゃ。

このカシミヤヤギ工場とはの、膨大の数のカシミヤ山羊を狭い区画で区切られた小屋に押し込まみ、 毛を成長させるためだけに餌を与えられ、成長した毛は刈るためだけの飼育小屋のことを指すのじゃ。

簡単に言えばフォアグラのための鴨のような感じじゃ。

カシミヤヤギも生き物だからの、その毛の品質は体調によったり年齢によっても変わるのじゃが、

このカシミヤヤギ工場では品質の合わないカシミヤの毛を生やすカシミヤ山羊は 殺処分としてしまうんじゃ。

さらには死んだカシミヤ山羊の毛も使用されるのじゃが、そうやって得られたカシミヤの毛をスライプカシミヤと呼ばれ世界中で嫌われておる。

しかし普通のカシミヤと混ぜて出荷されてしまえば、それを判別することも難しいのが現実じゃ。

 

 

  • 今日のまとめ

今日はカシミヤを取り巻く問題点も学んだの。

砂漠化とカシミヤヤギ工場の実態がそれじゃ。

 

わしはカシミヤを愛する者としてカシミヤヤギにも自然に生きて欲しいと思っておる。

放牧は効率は良くないかもしれんが、極寒の冬を過ごしフサフサとなったカシミヤ山羊が夏に岩場を使って落とした毛をカシミールの職人が集めてカシミヤを作る、そのことが肝要なんじゃよ。

 

 

この記事を書いた人

カシミヤ博士

カシミヤ大好き。カシミヤ博士